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破傷風ワクチンのススメ②

 さて、前回は破傷風とはどういう病気かについて簡単に解説しました(ここ)。
 今回は、なぜそのワクチンを受けた方が良いのか、個人的な意見を書きます。あくまで個人的です(笑)[うれしい]

 まず、破傷風ワクチンは2回打つと抗体(これがあると破傷風が予防可能)が出来る確率はほぼ100%ですが、効果が持続しない[悲しい]という特徴があります。そのため、最低3回の接種が必要とされています。
 1回目の接種後、約4週間で2回目の接種を行うことで抗体が出来ます。しかし、この抗体は1年くらいで消えてしまうため、1年後に3日目の接種を行います。そうすることで、抗体は5~10年ほど維持できるようになります。
 このため、現在の定期接種では、3種混合または4種混合として1歳までに3回、2歳で1回、11歳で1回打つことになっています。これにより、10代のうちは破傷風の抗体を維持できるようになっています。

 しかし、20代になると、その効果が減少してきます。この時期に破傷風に感染すると、恐らく発症してしまうでしょう。ただし、この時期はまだ、免疫記憶と言って、体は破傷風の事を覚えています。この覚えているうちであれば、ワクチンを1回接種することで数日で抗体を作ることが出来ます。この免疫記憶は20年~30年続くと言われています。
 つまり、10代までは仮に怪我をして、何もしなくても破傷風の発症リスクは低く、20代では、怪我をしてすぐにワクチンを接種することで発症を予防できるということになります。しかし、30代以降は徐々に体が破傷風の事を忘れ始めるので、怪我をしてすぐにワクチンを接種しても、抗体が出来ず、破傷風の予防が出来ない可能性が出てくるのです。

 問題なのは、この事実をよく知らない医師も多いということです。
 怪我を処置した後、破傷風予防にワクチンを打っておけば大丈夫と勘違いしている医師も多い気がします(私の周りだけ[悩み])。そのために、発症の95%が30歳以降という結果につながっているのではないでしょうか?

 また、1981年以前に生まれた人は、制度上の理由で破傷風ワクチンを受けていない可能性があり、1968年以前に生まれた人は、基本的に受けていません(これについてもすべての医師が知っているとは思わないでください)。
 つまり、初めから抗体を持ったことが無いので、当然その記憶もなく、怪我をしてからワクチンを打ったとしても手遅れなのです。

 全ての人に破傷風の予防接種を勧めるわけではありません。職業でいえば、農業や林業、土木関係や大工さん(釘を踏んでも発症する)、また、趣味として山や海で遊ぶ機会が多い人など、土に直に触れ、傷を負う可能性がある人動物を飼っている人咬まれると発症する)にお勧めします。また、海外によく行く人も打った方がいいかもしれません(現地で十分な予防法が受けられない可能性もあるため)。
 また、記憶をなくした人は、もう一度3回の接種を行う必要があります。ですので、小児期に3種混合ワクチンを受けた30代の人は、免疫記憶が無くなる前に接種しておくと、その記憶をさらに20年~30年延ばすことが出来るので、お得かと思います。

 尚、免疫記憶がない人は、発症前に毒素を中和する薬を注射することで予防できるのですが、先に述べたように、医師の知識不足から適切な予防法が受けられない可能性があるので、注意が必要です。



Category : 医学
author : よこっち | comments (0) | trackbacks (0) | 編集する

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