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破傷風ワクチンのススメ①

 以前に、『風疹ワクチンのススメ!』を書きましたが、筆者が成人も受けた方が良いと思うワクチン第2弾‼今回は『破傷風』についてです。

 まずは、前半で破傷風とはどういう病気かについて解説。そして、後半で成人での破傷風ワクチンの有用性について考えを書いてみたいと思います[残業]。

破傷風とは
 土の中にどこにでもいる破傷風菌が傷口から感染し、その菌が作り出す毒素のよって神経が侵され全身の筋肉がけいれん・麻痺する病気です。日本でも毎年100人程度が発症し、しかもその95%は30歳以上の成人です。さらに驚くべきはその死亡率[ショック]。現代においても発症後の死亡率は40%程度[ガーン]と言われています。傷口は、ちょっした切り傷や擦り傷、犬に咬まれた傷などからも感染します。
 受傷後、3日から3週間の潜伏期間を経て発症します。初めに口が開けにくくなり、物を食べたり飲んだりするのが難しくなります(第一期)。次第に、その症状が強くなり、顔面全体に広がって、引きつり笑いをしたような表情になります(第二期)。さらに、筋肉の緊張は首から全身へと広がり、動くことや呼吸することも難しくなります(第三期)。この時期が最も危険な時期[不眠症]で、心臓の神経も侵されることで、不整脈が出たりもします。特にここまでの経過が傷を負ってから48時間以内の急速に進行するものは予後不良です。この時期を越えれば、筋肉の緊張が解け(第四期)、回復に向かいます[ワーイ]。

 死亡率が高い原因の一つに、効果的な治療法がないことがあげられます。毒素を中和する薬はあるのですが、毒素に侵された神経を速やかに回復させる薬はありません。発症してしまったら、機械を使って、呼吸や循環の補助を行いながら、自然に良くなるのを待つしかないのが現状です。

 そこで重要となるのが、予防です[うれしい]。現在、破傷風の予防法には2つあります。一つは、傷を負っても大丈夫なように、事前にワクチンを打って免疫を付けておく方法と、もう一つは傷を負った時点で、毒素の中和薬を注射する方法です。しかしながら、ちょっと擦り傷を負うたびに病院へ行って、毎回注射を受けるのは効率的ではありません。そこで、有効で効率的な予防法がワクチン(予防接種)ということになります。

 現在、破傷風ワクチンは定期接種になっているため、生後1年までに3回、3回目の1年後に1回、11~12歳に1回の計5回の接種が行われています。ワクチンの有効期間は5~10年と言われており、このため、小児での発症は希となっています。逆に、30代以降は免疫が弱くなっているので、患者の95%が30歳以上ということになります。

 ここには歴史的な背景があり、昔は破傷風と言えば子供、特に赤ちゃんの病気で、死亡率も90%という恐ろしい病気でした。そこで、子供を破傷風から守るために、今のような定期接種がスタートしました。これにより小児での発症がほとんどなくなり、相対的に成人の比率が上昇しました。
 事実、予防接種が行われていない途上国では、乳幼児での発症が多く、また、不衛生な環境での出産(臍の緒を切る時)で感染するため、新生児での発症も多いと言われています。


Category : 医学
author : よこっち | comments (0) | trackbacks (0) | 編集する

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