I WILL TRY ANYTHING

　確かに、表１を見ると、ABOとRh以外の血液型なんて聞いたことない人がほとんどだと思います。病院でも調べることは、まずありません。

　しかし、これらマイナーな血液型が、輸血時に問題となることがあるため、日赤は、献血された血液に対して、検査を行い、『まれな血液型』が出た時は、その献血者に対して、カードで通知してくれます。そして、緊急に必要になった時に献血のお願いをしたいので、ぜひ連絡先を登録してくれませんかとの文書が一緒に届きます。

　恥ずかしながら、私、医師でありながらこんな制度知りませんでした[悲しい]。昔、２０歳になった時に、骨髄バンクに登録しようと、血液センターに行ったついでに、献血した時は、こんな通知はありませんでした。

　しかし、昨年、１０数年ぶりに献血してみたら、なんと自分が『まれな血液型』であることが判明[ガーン]。それで、色々と調べて、分かったということです。どうやら、１０年ほど前から、こうやって通知してくれるようになったようですね…。

　以下に、そのカードを示しますが、私の血液型はDi(b-)というもののようです。正しくは、Diego式a+b-になります。Ⅱ群に分類され、頻度は５００人に１人くらいです。

　日本人の場合、Diego式a-b+（b因子を二つ持つ人）が約９０%、a+b+（a・bそれぞれの因子を一つずつ持つ人）が約１０％で、a+b-（a因子を二つ持つ人）は約0.2％です。基本的には、ABOと一緒で、両親から一つずつの因子をもらい、遺伝していきます。

　面白いことに、これは人種差があり、黄色人種しかa因子を持ちません。つまり、白人・黒人は１００％a-b+ということになります。

　さて、では、まれな血液型で困ることは何かということですが、輸血を受ける時や、女性の場合は、子供を産む時に注意が必要となります。

　初回の妊娠や輸血では、問題になる事はありません。しかし、過去に輸血や妊娠歴がある場合は、不規則抗体と呼ばれるものが、血液中にできている場合があり、これがあると、輸血を受けるときには、同じまれな血液型を選んで入らなくてはいけません（Bombay型は初めから抗体を持っているので、初回から問題になります）。

　５００人に１人と聞くと、さほど少なくないように思えるかもしれませんが、「血液バッグ５００本に１本しか入れられる血液がない」と考えると、医療関係者の方であれば、どれほど大変か分かるかと思います。

　このために、日赤では、まれな血液型の血液は、冷凍保存されるのです。最大で１０年間保存されます。したがって、自分のためにも献血には行った方がいいでしょう。

　また、不規則抗体がある人が妊娠（血液型不適合妊娠）すると、その赤ちゃんが貧血になったり、黄疸が出たりする場合があり、厳重な管理下に置かれることになります。